海老ノート

Google Earth Engine 苦闘の記録

SARの勉強4:Terrain Flattening その1

Radiometric Terrain Flatteningがよくわかってない

さて、次の補正ですが、何をどうする補正かよくわかっていません。そもそも日本語で何というのか、わかってません。超おおまかな理解としては、斜面だとマイクロ波の入射角が変わるから真の(水平面だった時の)値より大きくなったり小さくなったりする。それを衛星の角度のデータとDEMから補正しようということだと思います。

わかっていないから、まずはデータを見てみようと。そこで、以前からお世話になっているGoogle Earth EngineでSentinel-1の前処理をするスクリプトに登場いただき(下のリンク)、補正前後の様子を見てみる。

github.com

処理前後の比較

見た目

場所は生駒の遊園地のあたりとして画像を見てみる。

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Sentinel-1 VV、左はTerrain Flatteningの処理前、右は処理後

処理前は画像左半分は白っぽく、右半分は黒っぽいのに対し、処理後は画像左右の明暗の差は減って平坦な感じに見える。 この画像では場所の様子がわかりづらいのでGEEで見たほうが納得しやすい↓

比較用作図のコード:https://code.earthengine.google.com/83d0a3bd6a4b923f3e03320ebd70a230

散布図を描く

散布図を書いて左右の明暗が減ったか確認してみる。 同じく生駒で、2000年8月上旬に取得された画像を題材にみてみる。衛星の進行方向ASCENDINGとDESCENDINGのそれぞれをみる。データ取得まではGEEでやったけど、散布図はRで書いた。数点大きく外れる値があったけど散布図のy軸は適当に上限を決めて表示してます。

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Sentinel-1 VV。左:Terrain Flattening処理前、右:処理後。横軸は経度、赤丸・オレンジ丸はAESCENDING、青丸・水色丸はDESCENDINGのデータ

図から見て取れるように、処理前はAESCENDINGとDESCENDINGのVVの値が東経135.675と135.680の中間くらいで交差している。処理後は全体に混ざり合って交差は見えない。南北に走る生駒山地の主稜線が135.6775くらいにあって、そこを境に衛星から近い・遠いがでる(入射角がガラッと変わるから)せいで、VVの値が変わる。だけど、処理することでその影響が緩和されたということだろう。

ASCENDINGとDESCENDINGそれぞれで見てみるとこんな感じ。

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左:ASCENDING(赤は処理前、オレンジは処理後)、右:DESCENDING(青は処理前、水色は処理後)
処理すると低い側はやや高く、高い側は低くなって全体が平坦になっているのがわかる。

VHも似た感じだった(グラフ以外省略)。

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Sentinel-1のVH Terrain Flattening 左:処理前、右:処理後
データを吸い出すスクリプトhttps://code.earthengine.google.com/873664b62702d67a464bbbac0cf92022

こうなるっていうのが少しわかった(続く)。